住宅リフォームのリアル

名古屋市や尾張旭市周辺で建築を通して暮らしの提案をしているSOWAKAの杉山です。

この業界に入って気付けば27年。

バブル後の就職氷河期、リフォームブーム、姉歯建築士耐震偽装事件、建築基準法法改正、SOWAKA設立、リーマンショック、東日本大震災、新型ウィルスによる経済活動の停滞の順で色々ありました。

そう、25年ぐらい前に空前のリフォームブームというものがあったんです。

以前にもその話題をブログに書いているので、良かったら読んでみてください。

リフォームという名称や歴史が少し分かると思います。

マンションリノベーションを考えるとき - 株式会社SOWAKAのブログ (sugico.nagoya)

増改築という名称から「リフォーム」というハイカラな名称がポピュラーになったことで私たち建設業は大きく変わりました。

 ・設計、現場、広報の全てがお客様寄りの考え方となり建築の敷居がグッと下がった。

  リフォーム屋さんのチラシには「お願いです、リフォームをさせてください!」等と書かれていた(笑) すごいインパクトですよね。

 ・職人のマナー改善が短期間で行われ、ゼネコンの職人、新築の職人、リフォームの職人の別がなんとなくできた。

 ・異業種からの転職者が流入してきたことにより、建築にもサービス業的な考え入ってきて業界ルールより顧客満足度重視となった。

 ・時代が変わったこともあり、リフォーム業界はクレーム産業と言われるほどクレームや訴訟が多く、家電量販店の様に価格競争が激化した。

 ・会社が異業種転職者を歓迎する一方で技術より営業重視となったことにより技術者が建設業界から去ってしまった。

なんだか書いていて思うのですが、すごく激動の時期だったんだなと思う。

これって、このブログを読んでくれている方が40代以上であればどの業界にも当てはまることばかりではないでしょうか。

それだけ日本中が大きく変わったんですね。

最近、リフォーム会社から転職した方と話す機会があったのですが

話しを聞くと・・・ えっ!! まだそんな働き方してるの?? まぁ、そうだよね。そういうもんだよね。

と話しをしていました。

リフォーム会社の営業さんはほとんど休めず、電話も鳴りっぱなし、お客さんと近隣からのクレームだらけで職人も言うことを聞かず、孤立無援な職業。おまけに、部品を調べたり互換性があるかどうか、どう劣化していてどう直すのか・・など、一般の方だとただ取替えをするだけに思えるようなことでもかなり難しいことをしている業界。

例えば、洗面化粧台の蛇口から水がポタポタと落ちる様になったとします。

皆さんなら部品代以外にいくら支払いますか??

リフォーマーたちのリアルなお仕事はコチラ

・お邪魔してポタポタしている場所を確認する

・ポタポタの原因を特定する(知識と直し方の経験が必要)

・蛇口を取替える際に取替え可能な器具の選定

・見積書作成とお客様に説明をする

・取替える器具の注文や受取り、水道屋さんへの発注

・取替えをするためにお邪魔する

・請求書を作成する

まぁ、お仕事なのでこの流れについては1人でやるべき作業だと思う。

おおよそ総額で5万円だったとすると、諸経費で10%のリフォーム会社が多いと思うので5千円が利益。

これを300件ぐらいこなさないと月間目標額を達成できない(泣)

恐るべしリフォーム屋さん!

心を壊してしまう人も多いのですが、納得できる。

離職率が高いのも納得できる。目標達成をすれば給料が良いからどんどん入ってくるけど辞めていく。

今どきだと週休2日で残業も少ない会社が多くなってきましたが、その人たちの家をリフォームする営業マンたちはその正反対の様な生活をしている。

最近は少し帰宅時間が早くなったみたいですがね。

みんな建築やインテリアが好きでこの業界に入ってくるのですが、落ち着いて考える時間すらない訳だから転職してしまいますよね。

ここがリフォームとリノベーションの違いなんですよ。実は。

リフォームは小工事の物件数を確保して売上高を確保しているので、じっくり考える時間もないから機器の取替えや貼替え、塗り替えが中心。

担当者の知識や経験次第なので当たり外れはあるけど、仕事量を考えると仕方がない部分もある。個人プレイだから組織的に物件について分担して進めておらず、大型物件の様な組織活動をしないと進めていけない案件には弱くなってしまう。

リノベーションは基本的に規模が大きい。私は小工事を200案件ぐらい統合したものでもあるって考えています。 そこに統合する際に必要なマネジメントが必要となる仕事で、新築と規模はほぼ変わらないが時代的背景がある建物を触るのでじっくりと考える時間が必要となる。 現在の暮らし方に変更をするために動線や間取り変更や性能向上が中心。

仕事量はリフォームに比べて部分的な案件ではないことから多い。前述したように200案件分の作業をしている感じ。 ただ、設計と積算、営業、監督と分業で分担していることによりリフォームに比べて机の上でじっくり考える時間は多い。 チームワークが良いと物件の質も高まることからリフォームの様に終わりのない追われ方が毎日続く仕事ではない。 ただ、新築に比べるとスピード感や仕事量は圧倒的に多いけど、リフォームに比べたら1秒を争う感じなぐらいではないことから、小規模工事は組織活動ができないため苦手となってしまう。

次に、スピードやストレスについてですが

リフォームの場合、トイレの取り替え工事の案件があったとすると

 1 アポイントを取って現地確認とヒヤリングを行い、既存の機器やトイレ空間の環境や寸法を調べる

 2 取替えができる機器を調べ、現在の性能や機能との比較を纏めてプレゼンシートと見積書を作成する

 3 契約書を締結して工事日程を決める

 4 機器や協力業者へ発注し、工事概要や案内図、工程表を送る

 5 工事着手日にトイレ廻りの床などを養生して機器の取り外しを立ち会う、廃材を運搬して処分する

 6 内装工事(天井や壁、床の張り替え)を協力業者が行う

 7 内装工事が完成したら機器を設備職人が取付する

 8 機器チェックを行い、養生を撤去して掃除をしたらお客様へ取扱説明をしてお引渡し

この5~8までは1日で行うことから、一つでも何か間違えがあればトイレは使えなくなってしまうし、職人を再度呼ぶ手配をする必要がある。

私もリフォーム工事の当日はメチャクチャ神経を使っています。

完璧に準備をしていても作業の途中で、職人が「あれっ?」とか独り言を口にするのが怖くて怖くて(笑)

この作業をリノベーションや新築で例えると

 1 あらかじめ配管をしておく その後、配管をチェックする

 2 別日に内装工事を行う

 3 1週間後に機器を搬入して取付を行う

 4 さらに1週間後にクリーニングを行う

 5 さらに2週間後にお引渡しをする

リフォームに比べると時間的な余裕があるからストレスがMAXにはならない。

一つひとつの作業についてじっくりとチェックができることと、仮に間違いがあったとしても直す時間的余裕がある。

SOWAKAが新築とリノベーションしか提供していないのは工事の大小で判断をしているからではなく、できないから。

リフォームはどうしても見積り価格が安い会社が受注することになる。 

あくまでも、見積り価格が。  

実際の請求書の金額だったり質を比べてもらえれば当社に軍配が上がると思うのですが、前述したようにじっくり考えた計画かどうかに差があるステージに手は出していけないと思っている。 だから、特命か紹介でしか私はリフォームを行っていません。 揉め事を起こしたくないですもん。

個人プレイか組織活動か。 時間勝負かじっくり計画か

同じ改修業界でも全く考え方や動き方がちがうリフォームとリノベーションなので特に名称を分けたがるこの業界です。

ちなみに、SOWAKAという会社名は・・・

仏語の 蘇婆訶 からいただいています。

意味は「幸あれ」「円満に」

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