とんでもない欠陥?
この記事は、2020年7月13日に公開したブログのアーカイブ記事です
執筆:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)
こんにちは。
名古屋市や尾張旭市周辺でリノベーションを通じて暮らしの提案をしている株式会社SOWAKAの杉山です。
2年前に新築で建てたお客様から連絡があり、写真を送ってもらってビックリしました。
なぜならば・・・
23年間建築をやってきて、他の業者さんが直せなかった雨漏れを直してきた自負があったにも関わらず、弊社で新築を建てたお客様から見せてもらった写真は、天井のビニルクロスが少し膨らんでいて雨漏れをした跡の様になっていたからだ。
雨漏れをさせてしまったのか・・・・
結論から話すと、湿度の問題で雨漏れでは無かった。
連絡を受けてから現地へ伺う約束の時間までに、工事中に撮影した屋根工事を中心にありとあらゆる資料に目を通したが全く問題が無かった。
どちらかというと完璧のはずだった。
でも、天井から水が漏ってくるというのは建築的な問題に違いない。
トラブルが起きた時、まずは人のせいにしたいもの。
でも、この前引渡した新築物件で誰のせいにできるのか。
自分しかいない。
まずは過信している自分から疑うべきが解決の近道だ。
お客様も私に気を遣ってか、エアコンやテラス屋根を付けたからかな??と。。
気を遣わせてごめんなさい。
約束の時間になり、その場所へ案内していただきましたが
「今は消えてしまってるのよ」
「えっ」
聞くところによると、2日前の夕方に天井のビニルクロスにシワがあるのを発見。
しかし、朝になるとシワが引いていて、どこだったかも分からない状態に。
でも、また夕方になるとシワが出てくる。
とりあえず、屋根裏へ上がる点検口から入って調べる事にしました。
懐中電灯の灯りから見た屋根裏は、綺麗にブローイングされたセルロースファイバーが広がっていました。
トラブルが無い限り引渡しをした後に屋根裏に入ることはないので、初めての光景でした。
このフワフワなセルロースファイバーたちがお客様の家を温かく涼しく保っているんだ・・と考えながら梁の上を歩いて目的の場所へ移動。
屋根裏に入るとどこだったのか分からなくなるので、天井に付いているダウンライトを頼りに位置を特定していきます。
心配性の私は壁からの寸法も測っておいたから場所の特定は完璧。
ココのはず・・ではなく、ココに違いないという確証が無ければ何の為に屋根裏に入ったのか分からない。
その場所の天井断熱(セルロースファイバー)を手で除けて、天井に貼ってある石膏ボードまで表しにしてみるが、水気が全くない。
セルロースファイバーは水に付くとフワフワな状態ではなくなる。
それは全くなく乾燥状態が保たれている。
石膏ボードも水が1滴でも付けばシミの跡ができるが、それも無い。
雨漏れではないと確信した瞬間ではあるものの、心配なのでその周り1メートル位を調べるがこれも問題が無い。
次に屋根から雨が漏れてきたと想定して屋根下地の垂木や合板に水が付いた跡が無いか、梁を伝って別の場所から水が呼ばれていないか確認・・・
ありとあらゆる場所をチェックしてから、掘ってしまったセルロースファイバーを元に戻して綺麗にしてから屋根裏から降りた。
お客様もホッとした感じで報告を聞いてくれました。
では・・・原因は何だろうか。
一つの仮定をお客様に伝えました。
日中はお仕事に出ているので、エアコンを使わないから部屋の湿度が上がる。
夕方に帰宅すると梅雨時で湿度が高い部屋の天井クロスが裏紙と剥離して膨れてしまった。
夕方からエアコンを付けていた部屋は湿度が下がり始めてビニルクロスがパーンと張り始める。
朝になると場所が特定できないほど張っていて何も無かったかのようになったのではないか。
間違いないのは雨漏れではなかった。
湿度の具合でビニルクロスが膨れてシワができるという事案を私が経験した事がなかったので、経過観察をすることにしたのですが、明日の朝にサンゲツへ聞いてみようと思う。
とりあえず雨漏れではなかったことにホッとしましたが、この23年間、お客様の住まいを作っている以上はホッとする時は無いに等しい。
人が作っている以上は完璧に見えても問題があることもある。
問題が起きる度、他社のトラブルでも依頼がある度に私の知識と経験は増えていく。
そしてそれは次に同じ事案にならない為に役立っている。
そうやって杉工建設は現在13期目。
本当にありがたい。
これからも同じ気持ちで建物とお客様に向き合っていきたいです。
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