営繕ができなくなった工務店の理由2

この記事は、2015年9月9日に公開したブログのアーカイブ記事です。

執筆:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

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こんにちは。

名古屋や尾張旭でリノベーション、注文住宅の提案をしている株式会社SOWAKAの杉山です。

今日も先回の「営繕ができなくなった工務店の理由1」に続いて書きます。

工務店は新築で建てたら次の改修まで新築時の利益の一部でその家の営繕活動をする。そして改修時期になり適正利益で改修を行い、その利益の一部でまたその家の営繕活動をする。

そこには工務店という作り手と施主の信頼という繋がりがあります。

その繋がりや歯車がどこかで噛み合わなくなってしまった家が近年は多くなって騙し、騙されという結果になっている現状がある。

どこに依頼をしても良いと思います。

ゼネコン、ハウスメーカー、地元の工務店、設計事務所、リフォーム専門会社

ただ、家を手放すまでお付き合いができる会社に依頼をしていただきたいものです。

ビルやマンションには管理組合があったり、建物管理する管理会社があるので定期的に補修をしたり、計画をする為に管理費という名目で貯蓄をしている。

戸建てでは家庭内でヤリクリをして貯金をして壊れた直すという繰り返し。

では、戸建て向けに建物管理をする会社は?と考えると・・・・  

今から20年ほど前までは地元の工務店が自社で建てた建物に対して補修を行う様な構図がありました。

いわゆる、営繕工事、アフターメンテナンス。

日本はバブル崩壊をきっかけに長らく不況となっている訳ですが、建てた工務店が倒産や高齢化により廃業をしたために所有者は信頼して頼む事ができる工務店探しを余儀なくされてしまった。

一般住宅では家を買ったら管理費、改修費は強制ではないので、どうしても貯めるのは難しいです。

新しく家を建てる時や購入する時に改修の必要性を考えたうえで住宅ローンを組んでいれば良いのですが、金利もかかってくるのにそんな余裕が無いのも現実。

これがスクラップ&ビルドの原因で、消費者側は政府の方針という型にハマってしまっているだけのこと。

貸し手(銀行)や売り手(不動産屋)や作り手(工務店)はビジネスなので商売として成り立てば良い。

銀行は税法上の年数で計算をして返済ができなくならないように担保価値を考え、不動産屋は滞りなく所有権が移転できる物件を仲介し、工務店は引き渡し時にトラブルにならない建物を作る。(現在は色々と問題があったため、引き渡し時ではなく瑕疵担保期間の10年間となっている)

そこで、リフォーム専門の会社が発展してきて「悪徳リフォーム」「適正価格」「相見積り」というキーワードが生まれてきた訳ですが、リフォーム専門業ではあっても採算の合わない事は切り捨てがち。

要は、社会の構造的に物を永く使うという事を念頭においたビジネス展開がされておらず、数多いリフォーム業者を所有者が探して直していく事となってしまっている。

前述したように、新築時の建築した会社が施主の家族構成、考え方、建物の概要を知っているので1家1工務店が理想です。工務店側は作った以上は劣化してしまった部材の取り替えなどをする営繕を行う必要があり、一番分かっているので適任なはず。そして訪問が必要なので悪い建物は作らない。

では、なぜ工務店は営繕をしなくなったか。

SOWAKA(前杉工建設)の様にに独立開業したばかりだと、お店を開いたからといって新築の話しや大規模修繕の話しがひっきりなしに来るなんて事はある訳がなく、ほとんどが「新築をした業者が直せないと言ってる」や「倒産して頼むところがないから直して」というものばかりでした。しかも、10件中7案件くらいは雨漏れ。

雨漏れ箇所を特定するのは難しいのですが放置してしまえば間違いなく家は朽ちます。

保証が終わった建物に関しては工事費用がかかるので見積書を作成するのですが、営繕工事は調査に時間がかかり、職人の手配をして、工事はすぐに終わる。予算は数万円なので工務店側は調査費、管理費として数千円を手にする。要は、完全に赤字なのだ。

弊社も同じく営繕工事はすべて赤字。ただ、新しい繋がりがほしい事と困っているならというプラスマイナス=ゼロという感覚で引き受けをしている。

一般的に工務店は数万円の工事は赤字となるのが分かっているから営繕に積極的ではない。

営繕からお付き合いが始まって増改築や建替えまでにどれだけの年数と累積赤字が増えるのか天秤にかけてしまうから工務店は新築ばかりやっている。

やらなければ覚えないし、やっても既に知識が乏しいために直らず、逆に壊してしまうことがある。

続きは「営繕ができなくなった工務店の理由3」にて

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