ストリップ階段のあるリノベーション

この記事は、2020年1月13日に公開したブログのアーカイブ記事です

執筆:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

こんにちは。

名古屋市や尾張旭市周辺でリノベーションを通じて暮らしの提案をしている株式会社SOWAKAの杉山です。

弊社が提案する間取りで時間をかけてじっくりと考えているのが、その家族にとっての動線や暮らしやすさ。

【多様化する現代】

サザエさん一家の様な日本的な暮らしだけではなくなっています。

20年前はホームページを開設している人や企業が少なかったのですが、10年前には当たり前の時代になり、企業のホームページから情報を探し便利となってきました。

5年ほど前から個人が投稿をするWebサイトが人気となり、情報量は膨大な量となりました。

たとえば、おじいちゃん、おばあちゃん、旦那さん、奥様、お嬢さん、息子さんという家族が住む家があったとします。

さて、何部屋必要なのでしょうか?

もしかしたら、6つの個室が必要なのかもしれません。

あるいは、2つかもしれません。

帰宅時間、就寝時間も昔と違ってきています。

30年前は各部屋にテレビのアンテナが必要だったのが、今はインターネットが使える様にしてほしいという要望の方が多い。

インターネットをする場合、LANケーブルを使う有線接続をするか、無線とするか、無線の場合は親機となるルーターはどの位置に設置すれば最適か。 

そもそも、光ケーブルの契約なのか、携帯キャリア、ケーブル・・ いっぱい選択肢がある。

そう、多様化し過ぎていてお客様はリノベーションをする会社を探す・選ぶだけではなく、銀行、電力会社、ガス会社、電話会社・・

色々と選んでいかなければならなくなってしまった。

だから、私たちはその契約がお客様にとって有益かどうかを、打合せの中でヒヤリングしています。

インターネットの情報が必ずしも正しい情報とは限らない。

膨大な情報を処理する能力がお客様に必要な時代となってきました。

【本当に考えないといけないのは個の発想ではない】

インスタグラムやピンタレスト、雑誌、色々なブログやWebサイトがある。 

確かに面白い。

楽天かAmazonのどちらかのサイトを開けば、おおよそ売っていないものはない。

興味を持って色々な事を調べていると、何でもできる気にもなる。

私(42才)が小学6年生の頃ころバブル崩壊がありました。

その頃、高級志向からか色の濃い床材が流行っていたり、戦後から抜け出して豊かになった日本は住宅の大きさも大きくなっていった。

大きなリビング・ダイニング、寝室、子ども部屋というものが区分けされて、親と子どもが一つ屋根の下で暮らしていても会話は徐々に減ってしまうことになった。

私も自分の部屋があり、いつも自分の部屋で趣味を謳歌していました。 

勉強?? 

両親の目に入らない自分の部屋だから、なかなか進まなかったですね(笑)

でも、家という箱の中で暮らすことで「個」も大事だけど、「絆」を大切に感じてほしい。

・玄関の出入りを家族が感じられる家

・個室は最低限の仕様とする

・LDKを通過しないと生活ができない工夫

そう、30年前の「個」が重視されていた建物をリノベーションするということは、家族がコミュニケーションをとりやすい設計に変えていくこと。

打合せを通じて、その家族の楽しみ、生活スタイル、思想、不満、歴史・・などを知ることで、その家族に最適な間取り、予算の組み方、暮らし方の一部を提案するのが弊社。

私たちの毎日はお客様の暮らしを考え、約束を守ること。

冒頭のストリップ型階段は、そのお客様にとって弊社へ依頼する決め手となったものです。

都会に建つ重量鉄骨3階建てを初回訪問した時、周りの建物に囲まれていて1階と2階は昼間でも薄暗い家でした。

照明を付ければ明るくはなりますが、工夫をすることで明るく気分よく暮らせる家にはならないものか・・

そこで、3階の光を1階と2階に届ける光井戸になる階段を提案しました。

フレームと踏板だけで構成されているストリップ型の階段にしたのは、格好良さが目的ではなくて、空間の広がりと明るさを採り入れるために採用されたもの。

このお客様にとってとても大事なポイントだったのです。

3階から階段を降りるとこんな感じ。

吹抜けになっていて、3階の手摺りはガラス張りになっている。

一番明るいところから一番暗いところに光を届けるために、1階から3階まで一直線の階段になっています。

私たちは当然に恰好良い、お洒落、可愛い・・などは大好きです。

デザインやセンスについては常日頃から興味を持っています。  

でも、そのお客様にとって本当に必要な提案を一番最初に考えています。

そして、その次にデザイン性を考える。

・奥様の家事動線は無駄が無いか

・ご主人が仕事に頑張れる家となっているか

・子どもへの教育方針が形として表れているか

・この家族らしい予算組みとなっているか

【お客様との約束を最優先】

写真の物件は昨年末にお引越しをされました。

私自身も完成を楽しみにしていたので設計は良かったと思います。

ただ、着手して間もなく設計と事務の2人と、私以外のスタッフが一斉に退職してしまったので、営業、広報、店舗スタッフ、総務、経理などのセクションが停止した会社となってしまいました。

さらに追い打ちをかけて、各地で動いていた現場の業務委託をしている協力業者までも現場放棄をして、連絡が取れない状態になり、お客様には大変なご迷惑をお掛けしてしまいました。

設立して11年目で初めてのことでした。  

職人さんたちは自由業なので連絡が取れなくなる人もいたけど、現場管理をしている会社がリノベーションの難しさに対応できず逃げてしまうのにはビックリしました。 

口では何とでも言える。

できなければ請けてはいけない。

私たちは建設業法という法律に従って、現場管理会社を統括し設計監理をする設計施工の会社。 

管理会社が居なくても工事は問題なくできる。

段取りをしていなかった分、材料や職人の手配などが大変なだけではある。

統括している私たちが目指しているのは品質の向上にある。

材料の手配や職人の段取りを管理会社に任せることで、その時間を使って品質チェックをする。

気心知れた職人が作ったものはチェックがどうしても甘くなる。

だから割り切ってお客様目線の品質チェックをするというもの。 

いま、色々な問題を乗り越えて復活しました。

新しいスタッフも慣れてきて、2年前にWeb会社に転職したスタッフも戻ってきてくれて、前より働きやすくなりました。

そして私にはお客様と完成をさせる約束がありました。 

従業員が辞めても職人が居なくなっても、問題が無い状態で進めなければならない。

新規のお客様を全てお断りして、全てをいま現在私たちに託してくれているお客様に注がなければ私は会社を作った意味がありませんでした。

弊社は下請負業者さんが約70社。

一人親方でやっている職人から会社組織で動いている社員職人まで色々。

数ヶ月先まで決まっている物件で支障の無い工事は取りやめるか延期として、このストリップ階段の家に全力を傾ける。

お客様にとっては他の物件など関係のないこと。

お金の問題ではない。  

最後まで丁寧に約束を守るのが私のしごと。

お問い合わせはメールまたはお電話で

(受付時間 9:00~18:00 日曜定休)

名古屋 SOWAKA