工期より小さな命を優先
この記事は、2018年8月6日に公開したブログのアーカイブ記事です。
執筆:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)
名古屋市や尾張旭市周辺でリノベーションを通じて暮らしの提案をしている株式会社SOWAKAの杉山です。
まだ涼しい4月頃のある日、突然現場にツバメが巣作りをし始めました。
なんと・・増築予定の場所に巣作りをしてしまったので、急遽、他の場所から作業をすることに。
毎日、ツバメの観察をしていたのですが、勝手に巣を作って住んでいるものの建物の中(車庫内)なので飼っている様な感覚・・(笑)
ヒナ鳥達は時折、羽根を広げてバタバタし始めたり、親鳥はせっせとご飯を運んでいるばかりだったのに、最近は子どもたちへ飛び方を教えているのかコミュニケーションを取っている感じになってきた。
何だか、人間と同じだなぁ~ としみじみ自分の子ども達が頭に浮かぶ。
ヒナでピーピー口を開けている時は、父と母の2匹は休む間もなく子どもの為に食事を探しにいく。
口に食べ物を入れたらすぐに、次のヒナ鳥の為に食事を探す為に飛び立つ。
そんな必死に生きている姿を見てヒナ鳥は大きくなっていくのでしょうね。
人間だったらどうだろうか。
色々な考え方の人はいるけど、おおよそ子どもの幸せを願って仕事や家事を頑張っているのではないかと。
巣作りもまた人間と同じ。
ツバメは新築もリフォームもする。
泥とツバで形を作るらしいのですが、春から夏にかけて日本で住むために帰ってくる。
フィリピンや台湾の方へ行っているとも聞いたことがあるけど、興味があったら詳しくは調べてもらいたい。
人間の都合で巣は撤去されてしまいますが、戻ってきたツバメはまた近くに新築する。
巣が残っていたら修理をして使う。
ツバメは理想や憧れで新築をする訳ではなく、暮らす環境があればいい。
環境に適する場所に住む。
エゴで巣を替えていく、作ることはない。(と思う)
人間には文化というものがあり、現代の日本ではエゴも拘りも自己表現の一部ではあるし、活力の源でもある。
同じ人間でも、海外では生きる為に必要なハコという認識をしている地域もあると思う。
「雨、風が凌げて安心して眠る事のできる場所」
家(巣)は生命にとって最低限でも必要なハコでもある。
日本は生活水準が高くなり、昔の殿様が暮らしていた住まいより良い家に住んでいる。
そこに、欧米の文化も入り「暮らし」を楽しむという贅沢に憧れている。
もし、ツバメにも通貨があり、別のツバメが対価をもらい巣作りを請け負っていく時代がきたら、色々な形の巣が出来たり、生態系から変わってしまうかもしれませんね。
生きていくだけで精一杯なところに、巣の形を変えるリフォームをしよう とかいう発想にはなりませんね。
また、自分でワラや泥を拾って唾液で固めて作っているので、人間の様に手足だけで建築をする事ができないレベルまで高度化して、重機やレーザーなどの道具を使う家づくりとは違いますね。
建設業者に依頼をせずにセルフビルドをすれば多少壊れても愛着があり、すぐに建替えという発想にはならないかも。
代金を支払えば家はそのうち完成はします。
ただ、新築でも、リノベーションでもオーダーメイドで作るなら資金計画、計画設計、実施設計、打合せ・・
全部のプロセスを自分で作っているかの様に考え、話し合い、納得をしながら楽しまないと損です。
建売を買うか、全部考えてくれる会社に依頼をした方がいいですね。
ただ、自分の家です。
頑張って働いた給料を貯めてローンを組んで買う家だからどっちがいいんだろ・・
私はひとつひとつ考えて買いたい。
家だけじゃなく車もPCも文具すらも。
金額の大小じゃない。
話しは戻り、先週末に大工と「あと1週間ちょっとでヒナ達は飛び立つね」と微笑ましい話しをしていた。
そんな矢先、朝7時頃に現場へ寄ったら私の足元には 居てはいけない場所にツバメのヒナが・・
飛ぶ練習をしていて落ちてしまったのか・・・
あと1時間で太陽が出てきてしまうから地面を歩いていてはいけない。
暑すぎて死んでしまう。
幼少の頃、自宅に手乗りインコやジュウシマツなどを飼っていた私は思わず手を出していた。
鳥獣保護法という法律があり、ツバメは許可なく飼ってはいけないらしいので、人間が手乗りのようにツバメと触れ合うことはない。
そもそも、野生のツバメが私の手に乗ってくれるのか・・
そんな私の心配など不要で、歩いていたヒナツバメは指に乗ってきた。
かわいい!!
スズメをすこし小さくした感じ。
一度、ヒナを降ろして、ハシゴを用意してすぐに巣へ連れていけるように準備をした。
2回目のチャレンジ。
まぐれで乗ってきたのか、人懐っこく乗ってきたのか・・
試される瞬間。
またまた私は考え過ぎだったようで、指ではなく手のひらに乗ってきた。
ホントかわいい!!
落ちないように、もう片方の手で背中(羽根)を少し覆って顔だけ両手から出た状態で巣へ上がり、兄弟達のいるところへ戻してあげた。
巣へ返してすぐに親鳥が戻ってきて、何事も無かった様に朝食が始まりました。
一件落着!
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