建設業の歴史
この記事は、2020年11月11日に公開したブログのアーカイブ記事です。
執筆:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)
みなさんこんにちは。
尾張旭市で想いに添った暮らしの提案をしている株式会社SOWAKAです。
皆さんは木造住宅の図面をご覧になったことがあるでしょうか?
910
木造住宅ではこの910という数字が
基本の寸法として使われます。
皆さんがご覧になった図面でも、
この910という数字が多く書かれていたのではないでしょうか。
以前のブログでも、木造の場合は1820㎜間隔で
柱が必ず必要という様に書きましたが、
これも910㎜が基本となった数字です。(910㎜×2)
私達の様に建設業に携わる者からすると
この910㎜という数字は基本中の基本ですが、
お客様からすると中途半端な
根拠のない数字に思えるかもしれません。
私もこの業界のことを勉強していなければ、
謎の数字と思っていたはずです。
建設業の歴史
日本でも様式は違えど、
かなり昔から建物が建てられていたので、
建設業に携わる人たちがいました。
なかでも江戸時代では、大工、左官、鳶が花形の職業とされていた様です。
そんな古くから残る建設業なので、
当時から使われている尺貫法が
今の建設業にも残っているのです。
1尺は303.333333㎜と割り切れないので、
1尺を303㎜と換算しています。
木造では3尺の間隔が基本ですが
これはミリに換算すると909㎜になります。
ただ、この909㎜という数字が使いづらかったため、
キリの良い910㎜へ変換されたと言われています。
ちなみに、建設業でミリを使う理由は、
小数点を出さないようにするためと言われています。
小さな寸法を使うことも多いため、
始めからセンチやメートルを単位にしてしまうと
小数点の位置を読み間違えたり、
ぱっと見て分かりづらいため始めから小さな単位にしています。
お客様と関わることの多い
私達の様な職種の場合は尺をミリに換算して、
そこからさらにセンチへ換算してお話をしますが、
現場で働く職人たち、
特に大工はまだまだ尺を使われる方も多いです。
スケール(メジャー)も、ミリ単位の物と
尺貫法で書かれた物の両方を使う大工もいます。
910という数字には古くからの伝統が残っていて、
尺貫法は建設基準法でも基本の数字として使われていることが多いです。
また、建方に使われる木材の呼び方にも、
尺貫法が用いられています。
105㎜角の木材はサンゴ角、90㎜角は3寸角などという呼び方をされます。
(慣れるまで私はさっぱりわかりませんでした。)
家づくりをする中で、この尺貫法を使って話をする様な営業さんはいないと思いますが、
図面に出てくる謎の910という数字にはこの様な根拠があります。
建設業には他の職業よりもかなり多くの伝統が残されているのではないでしょうか。
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