自然と共存できる住まい

この記事は、2021年6月29日に公開したブログのアーカイブ記事です。

執筆:坂本真由(株式会社SOWAKA・代表)

こんにちは。

名古屋市や尾張旭市周辺でリノベーションを通じて暮らしの提案をしている株式会社SOWAKAの坂本です。

皆さんにとって「いつか住んでみたい家」はありますか?

私にとって「いつか住んでみたい家」は、自然と共存できる住まいです。これは、昔からずっと変わらず想い続けているのですが、あるプロジェクトを知ることから、その想いが強くなりました。


建築家の池田武邦(たけくに)さんをご存知ですか?

日本初の超高層ビル・霞ヶ関ビルを設計した建築家で、日本設計を創立した方。

言わずと知れた日本設計は超大手の設計事務所ですが、最近だと、JPタワー名古屋も日本設計が設計されていますよね。

コロナが流行る前になりますが、JPタワーに入っているKITTE名古屋のアートプロジェクトを楽しみに行っていたことがありました。

下から見上げたJPタワーの迫力は圧巻です。

熊本出身の私にとって身近だったハウステンボスも日本設計、池田武邦さんが携われているそう。

子どもの頃に行ったハウステンボス。楽しかった思い出ばかりです。

話は戻りますが、池田武邦さんが77歳の頃に建てられた「邦久庵(ほうきゅうあん)」

 出店:邦久庵 WEBサイトより引用

長崎県の大村湾に臨む岬に建つ小さな民家で、現在、97歳の池田武邦さんは、90歳までこの別荘で過ごされていたそうです。

私にとって「いつか住んでみたい家」は、この邦久庵みたいな住まい。

見てください!この景色。

日本ではないような雰囲気さえも感じされられます。

出店:邦久庵 WEBサイトより引用

邦久庵のデッキから望む絶景は、もう何とも言えません!

太古より湾から出られないというクジラ(スナメリ)が住んでいる大村湾は、本物の海だけど波が極めて穏やかなんだそうです。

え?スナメリ?   スナメリが住んでるのは驚きです。

私はこの写真を見ているだけで癒されるんです。

池田武邦さんの考え「自然との共生」のカタチとして、真西に向けて作られたデッキからは、春分の日、秋分の日にはちょうど正面に夕陽が落ちるので、自分がいま“何月何日の何時何分を生きているか”を確かめながら暮らすことができるのだとか。

90歳で東京へ戻られた後の邦久庵は、ボランティアチーム「邦久庵倶楽部」の方々が、定期的な大掃除を開催したり、建物の一般公開やワークショップなどを開催しながら、建物の保存活用に取り組まれているそうです。

今年の5月には、邦久庵倶楽部の皆さんが邦久庵を守るためクラウドファンディングを立ち上げられました。

何をするのかというと、2020年の台風でダメージを受けた茅葺き屋根を補修するため。

当初の目標金額は200万円でした。

締切日を前に目標金額を達し、最終的に250万円の支援金額が集まり、茅葺き屋根の改修が実施されました。

出店:邦久庵 WEBサイトより引用

茅葺きの仕組みやを学びながら、屋根の頂部「棟」の解体が体験できるワークショップも開催されていて、私も興味津々でした。コロナが流行ってなかったら行ってみたかった。

そして、ついに完成!

出店:邦久庵 WEBサイトより引用

すごい!綺麗〜この柔らかで絶妙な曲線、とても綺麗です!

そもそもなぜ、超高層ビルの建築に携わり続けた池田武邦さんが、茅葺き屋根の小さな民家を建てられたのか?

池田武邦さんが50歳前後の頃、無機質な超高層ビルに疑問を抱くようになられ、次第に自然と建物の関係を見つめ直した住まいが、この茅葺き屋根の家「邦久庵」だったそう。

「人間は自然の一部である」と考えられた池田武邦さんによる住まいだからこそ、台所からもお風呂からも、二階の書斎からも、大村湾を望めるように細やかに設計されているそうです。

ほぼ九州の材料を用いて建てられ、茅葺き屋根のような伝統工法技術を生かした建物

そしてそういった技術を継承するためにも、こういったクラウドファンディングが立ち上げられ、多くの方に目にしてもらう機会が増えること。

とても大切なんだなと感じさせられました。

建物は人が住んでいないと、荒れてしまうもの。

空き家になっている家も多いですが、住まいとして建物だけでなく、人をも繋げていくのがリフォーム・リノベーションの醍醐味なのかなと、改めて感じています。

いつか、この邦久庵に足を運んでみたい。

そう思えたプロジェクトでした!

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