稲は実るとこうべを垂れる。では人間はどうか
この記事は、2021年9月23日に公開したブログのアーカイブ記事です。
執筆:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)
こんにちは。
名古屋市や尾張旭市周辺でリノベーションを通じて暮らしの提案をしている株式会社SOWAKAの杉山です。
先週、私の家の周りにある田んぼの稲刈りがありました。
そろそろ刈られてしまうなーって思っていたので、この話題を書きたくて写真に収めました。
尾張旭市内もだいぶ田んぼが少なくなって住宅が建設されていますが、農振地区である私の家の周りはまだ、果てしなく田んぼが広がっている貴重な場所。
人によっては早く市街化すればいいのに!って思うかもしれませんが、私は気に入っています。
マナーを守れる大人
皆さんは小学校の時に習った道徳を覚えて実行していますか?
家庭環境によっては授業で習ったことよりも実生活を優先しなければならない子どもたちもいるのかとも思いますが、そうでない環境の場合は親がしっかりしていなければ子どもはそれ以上になることは滅多にないかもしれません。
ただ、カエルの子はカエルなので、親も祖父も、そのまた祖祖父もってなると何を以て「しっかり」なのか分かろうと思っても分からないかもしれません。
だから、今回は私の感覚に基づいて書いているので考え方が合わなければ離脱してください。
私たちリノベーション会社は色々なところでマンションの改修工事をしています。
マンションリノベーションだと必ず住民の方と共有する設備が「エレベーター」です。
私、従業員はもちろんではありますが、職人さんたちもなるべくこの共用部でのマナーは厳しく伝えています。
例えば
・汚さない、汚してしまったらすぐに掃除をする、傷を付けないは当たり前な項目
・無視されても必ず大きな声で挨拶をする
・自分が悪くなくて暴言を吐かれてもひたすら謝る
・重い荷物を持っていても住民優先で歩行を止めさせない、丁寧に譲る
あれ??マナーと関係ないのでは?
今の時代は私たち業者の存在自体が気に障る方もいるので弱者は弱者なりの対応をしないと事が大きくなって依頼主に迷惑をかけてしまうんです。
だから理不尽なことも多いのですが受け入れる気持ちを持つ指導をしています。
職人さんって皆さんはどんなイメージですか?
まぁ、イメージ通りだと思います。
普段の生活だと近寄りがたいというか、怖いイメージもあるかと思います。
実際に怒ると怖いとは思いますけどね。
でも、働き始めてから親方の元でマナーを叩き込まれるので実際は社会性があります。
ヤカラ(輩)と呼ばれることに喜びを持つ半グレみたいなのも居ますがリノベーションやリフォームの現場には入れないので弊社には居ません。
近寄りがたいイメージ職人とすれ違う時って嫌だなーって気分になると思います。
だから、まずは「挨拶、お礼、譲り」が大事だと思っている。
私が現場に行く時、いつも感じるのが挨拶を返してくれるマンションと無視をされてしまうマンションの2つに分かれる。
たぶん、そういうマンション内の文化なのでしょうね。
でも、小学生たちの8割はどこのマンションでも挨拶を大きな声で返してくれる。
不思議ですよね。
それだけ大人には存在が嫌がられているのか、道徳を忘れてしまったのか、いつも寂しい気持ちになります。
たぶん、大きな声で挨拶をしてくれる子どもたちの親だとは思うんですけど・・・
私の中では「おはようございます!」と聞こえる声で挨拶を受けたら反射的に嫌な相手でも「おはようございます」って返してしまう。
逆に聞こえたにも関わらず無視をしたらエレベーターの中での数十秒の沈黙に耐えられなくなりそう。
弊社にも新卒で入社する従業員がいます。
ほぼ全員、私から怒られています。
私はその人たちにとって第二の親だから、この先の長い社会人生活を送るうえで必要なマナーや思想、仕事力というのは厳しく教え込みます。
その中でも「挨拶」というのは一度注意をされたら誰でもすぐに直せること。
その意識があれば。
マナーや思想、仕事力、技術や知識というのはその従業員一人ひとりによって教え終わるスピードは違いますが、聞こえない挨拶しかできない人は要らない。
感じが悪いだけですもんね。
読んでくれている方は、これ当たり前じゃんって思うかもしれない。
でも、恥ずかしながら弊社は今までに誰ひとりとして挨拶、マナーと当たり前にできるはずのことが出来た新卒はいない。
相手に聞こえて、相手に伝わらなければ意味が無いです。
入社から半年経過して挨拶ができなければ他もそれほどできる人材にはならないから、会社的にはその時点で辞めてもらった方がいいかもしれません。
その先も人に対しての気持ちが薄いのでサービス業には向いていないのですから。
世の中の9割は誰かから仕事をもらっているので、ある意味サービス業ですもんね。
それくらい挨拶って大事なことだと思います。
ただ、対外的には挨拶が返って来なくても、自分たちは挨拶をするってスタンスは続けなければならないと考えます。
実るほど頭を垂れる稲穂かな
故事成語のことわざなのですが、
稲が成長すると実を付けて、その重みで実の部分が垂れ下がってくることから、知識や経験を増やした人ほど他人に対してますます謙虚になることのたとえ(ことわざ)です。
「頭を垂れる」というのは「相手に敬意を払って自分を謙る」という意味があるので、稲が順調に成長するに従って、稲の実を付けている部分が垂れ下がってくる様子を、成長していく人間に例えて詠んだとされています。
5・7・5となっているのですが誰が詠んだのかは分からないみたいです。
コレ、私はすごく好きなことわざです。
いつもこの「ことわざ」で自問自答しているのですが、何でも頭を下げれば良いって訳ではないし、とても日本的な考え方ですよね。
弊社にも外国人従業員が居たのですが、彼らには文化が違い過ぎて全く伝わりませんでした。
今の日本はグローバル社会になったので、特に10代、20代には響かなくなってしまっています。
私は若いうちは生意気であれと10代、20代の従業員に言っています。
ただ、この世代って私みたいな40代世代と違ってハッキリとモノを言えるんですよね。
尊敬してしまいます。
だから、あえて生意気であれと言わなくても十分に生意気です。
ただ、合っていることも間違っていることもハッキリと言うし、自分が正しいと思って改めようとしないので悟り世代とか言われていますね。
私たちの時は確か「新人類」だったかな(笑)
先輩たちにはいっぱい迷惑をかけたし、怒られてきました。いい思い出です。
先輩たちからすると「この新人類たちめっ!」と怒っていたでしょうね。
だから、「ゆとり」だろうと「悟り」だろうと、この世代が40歳くらいになった時にまた次世代の困った子ちゃんたちの対応に手を焼くだけです。
じゃあ、昔は良かったのか・・・70代、80代の方々が若かったときは素晴らしかったのか。
みーーーんな一緒です。
ただ、グローバルになったお陰でインターネットは使える様になったのですが、日本的な部分が世代世代でどんどん薄れていっているのは間違いない。
外国人に仕事を依頼する時、1から10までをちゃんと指示しないと彼らはやりません。
日本的にそれは11までやるのが普通でしょ!っていう普通が彼らに優先されることはありません。
私はマニュアル人間は嫌いなのですが、日本的な考えではない思考だとマニュアル通りに物事を進めます。
そして、マニュアルに無いことは自分の受けた指示にはないのでやりません。
お願いをされても自分の仕事ではないとハッキリ言います。
職場に外国人がいる方は何となく分かりますよね(笑)
「悟り」というのは来るべくして来た考え方で、この先はこの考え方が当たり前になっていくのだと思います。
ただ、この考え方って全員の話しをしているのではない事にお気づきですか?
これからは
・マニュアル通りだったり、契約通りに限りをつけて仕事を割りきって仕事をする人
・その道を極める為に貪欲に高い責任感をもって仕事をする人
この2通りで会社は構成されるのではないかと思う。
これは会社だけでなく社会全体の話かもしれませんね。
まぁ、どちらが正しいってのは無いと思うから、その人がどうするかってだけかなと思う。
会社の中で言うと前者は責任が少ない仕事が向いているし、後者は責任がある仕事になる。
今どきは責任を負いたい人なんて少ないから日本経済も上向きにはならないかもしれないですね。
ただ、マナーの話しも一緒ですが人間って勘違いをしやすいものです。
自分では出来ていると思っていても、実際は全く出来ていなかったり。
また、心が弱い人も多いからあまり言い過ぎないようにしてると出来ていると勘違いをしてしまっていたり。
仕事も同じですね。
出来ていないけど全く出来ていない訳ではないから注意を受けなくなったら出来ているんだと勘違い。
だから、常に「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
傲り(おごり)の気持ちや自意識過剰に度が過ぎない様に、まずは周りに感謝の気持ちをもって、足元をよく見て、プライドだけに縛られすぎずに相手と接する気持ちを常に持ち続けたいものです。
弊社の場合、私のことを「社長」っていうのを10年以上前から禁止にしています。
なぜかというと、対等に話しをしたいから。
それともう一つ。
私が立場的に有頂天にならず人の話しに耳を傾けなければならないって思っているから。
耳を傾け過ぎてどうしていいのか分からなくなっている私もいる(笑)
みんなそんなに苦労せず働きたいでしょ?
だから聞きすぎても自分の首を絞めるのだと最近知りました。
人に対して礼を尽くせるって日本人にはまだ必要だと思う。
それが徳を生む。
小学校で習う「道徳」ってこの日本社会で上手に生きていく術を学ぶよくできたカリキュラムだなって感心しています。
今回は建築と全く関係の無い話しでした。
最後まで読んでいただきまして有難うございます。
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